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目が覚めると…私の体と口は管のような物と繋がれていて、周りは白い壁に囲まれている。
(ここは…どこ?私は…)
管を体から外して立ち上がる。
「…なんだ?ここは?」
辺りを見渡すと、この白い部屋には私が入ってた白い箱と、上に続く梯子だけがあった
「…どうするか、とりあえずここにいても仕方ないな、まず人を探さないと…外に出てみるか」
梯子を登ると、蓋みたいな出入口を見つけて、そこを出ると森に出た。
この出入口はまるで意図的にこの場所を隠すように感じられた。
「ここは…どこなんだ?私はなんだ?なぜなにも覚えてないんだ?」
…どうすれば良いか分からないので、辺りを散策してみる、もしかしたら人がいるかもしれない…そんな期待を持って
30分ぐらい経っただろうか…緑色の人?の集団を見つけた、大体三人ぐらいだ。
「顔色悪い人たちだなぁ…」
こっちを見てる…なんだろう…?とりあえず話しかけてみるか、ここがどこかも教えてもらおう。
「すいません、ここはどこで…」
話し終わる前にそいつらは棍棒を振り下ろしてきた!
間一髪それを避ける、危なかった…でも今の、良く避けられたな…まるで私の足じゃないような足さばきだった。
「な…何をするんですか!」
それに続いて他のやつらも攻撃してくる。
「くっ…」
避けようと動作を取る…不思議だ、先ほど避けたのもそうだが、足が異様に軽い。
私はそのまま三人目の攻撃も避ける…だが。
「ど…どうすれば…」
打開策を考えてる…ダメだ、人数が多い…逃げるのも難しそうだ、このまま避け続けるのも限界が…。
【何やってんだ?これぐらいお前なら余裕だろ】
余裕!?何を言って…ん?何か聞こえたような…
【なんだ?調子悪そうだな】
私の後ろから話しかけて来たのは、仮面だった…仮面が宙を…舞っている!?
「仮面!?浮いてる!?てかなんで話せるの!?」
【おいおい…マジで覚えてないんだな…】
【…後遺症か?それとも寝すぎたからか?】
「な…なにを言ってるんだ?」
【てか…俺が出てるってことは呼び出したってことだよな?どうやら無意識に呼び出したみたいだな…つまりさっきの【デモンズドッジ】も無意識ってことか】
「仮面…仮面が…」
【はぁ…良いから前を向け、まだ戦いは終わってないぞ】
「え?…うひゃぁ!」
目の前まで迫っていた棍棒を間一髪避ける。
「戦うって…ど、どうすれば良いの!?」
【ふむ…無意識に魔法は使えるようだが、意識的に攻撃魔法を使うことはできないか、まあ一度やれば思い出すだろう】
「な…なにをすれば良いの!」
【ナイトメアなら発声無くても大丈夫だろうが…まあやり方そのものを忘れてる可能性があるからな、基本通りにやってみるか、とりあえず俺の言う通りに発声してみろ】
「ナイトメア?発声?」
【いいから準備しろ】
「わ…分かった、やってみる」
【操、】
「…操、」
【第一階の攻。】
「…第一階の攻。」
…なんか、聞き覚えがある、前にどこかで聞いたような…
【閃光、雷雲_電光】
「閃光、雷雲_電光」
あれ?なんかこれ、やったことある気がする、確か続きは…
【「ザス•ヴァルト•ル•パン。シャイア•ラクラウ____ジバジガ!」】
【「操霊魔法レベル1!スパーク!!!」】
そう唱えた瞬間、体に雷が走ったような衝撃が…うん?
「ギャー!!!」
【まあ、この距離だと自分も巻き込むよな】
自分の体から焼け焦げた肉のような匂いがする…
「いたた…なにこれ!?」
【魔法だ】
「ま…魔法?」
【本当になにも覚えてないんだな、さっき教えなくても最後辺り唱えてただろ】
「それは…なんでか私にも分からないって言うか」
【…まあ良い、後まだそいつら生きてるぞ】
目を緑色の怪物に向けると、そいつらがまだ生きていることに気づく。
「…ど、どうすれば…」
【このままだと時間がかかりそうだな…仕方ない、おいアン…ん?】
「どうしよう…どうすれば…」
【どうしたん…あ、これヤバイな】
「どうすれば…どうすれば…解決法…どれが…どうすれば…」
【さ~てと…今のうちに印に戻るか…】
「解決法…あいつをどうにかしないと…」
体が熱い…特に背中と角が焼けるように。
「どうやって…逃げるのも難しそうだし…」
苦しい…肺と脳にもっと酸素を送らなきゃ…そうして深呼吸する
「じゃあ…どうしよう…」
頭が熱くて痛くて苦しくて、どうすれば良いか悩み続けた結果…一つの結論を見つけた
「………いなくなればいい」
頭の角が延び始める、体が異様に白く染まっていく…髪の色もそれはそれは綺麗な虹色に
「あいつらが…いなくなれば良い」
「殺せばいなくなる!殺せば!!」
焼けるような痛みも無くなり、思考はクリアになっていく。
「お前らを!お前らを殺せば全て解決だぁ!!!」
「範囲拡大三倍!対価は苦!苦しみは平等に訪れる!我が呪いと報復を受けるが良い!!!」
「召異魔法レベル2!アヴェンジャー!!!」
頭に浮かんだ言葉を唱えた瞬間、心臓を悪魔に直接捕まれるような痛みを味わう。
「ぐっ…あははは!!!!」
私の心臓を掴む手が、その手を離す…そして
緑色の怪物が苦しみだす、胸を押さえ、口から血反吐を吐き、目と鼻から液体を吹き出す。
「お前らも…苦しめぇ!!!」
そして…そいつらは動かなくなった。
「はぁ…はぁ…」
目の前がだんだんと多重にぶれていく、まずい…このままだと倒れる、間違いなく。
「安全な…場所に…行か…ないと…」
ふらふらとした足取りで歩く、生きるために、とりあえず安全な場所を…
そのまま私は倒れた。
次に目を覚ましたのは…白いベッドの中だった