キズナ

設定・その他メモ

オールドローズは裏社会に生きるアンダーティカー、葬儀屋だった。
常にMourning（モーニング：喪服）を身にまとい、どこであろうと薄暗い死の前に影のように立ち現れる。気に入った死体とことはVenus（ウェヌス）と呼称する変わり者だ。
彼は独特の美学と気まぐれで仕事をするので、依頼を受けて仕事をすることは少ない。しかし魅入られた死体であれば、大勢の部下に囲まれカシミアのベットで亡くなったマフィアのボスであろうと、独り路地裏で野垂れ死にした孤児であろうと、分け隔てなくEmbalmingを施す。
彼のEmbalming（エンバーミング：死に化粧）技術は常軌を逸している。ビスクドールのように美しく、確かに静謐な死の魅惑を湛えたそれはもはや芸術だ。丁重に埋葬される身分にある者にとっては、ある意味幸運なのかもしれない。しかし、本来であれば見向きもされなかったような死体は、オークションなどを通じて好事家たちの手を渡っている。
彼にとって自分がEmbalmingを施した死体が売り買いされているという事実は、許しがたい冒涜だった。彼のVenusは棺に納め、眠らせてこそ完成するものだったのだ。血の気の失せた陶器の肌も、永遠に物言わぬ唇も、繊細に縁どられやわらに閉じられた瞳も、棺に納められて土の下に眠る決して触れられぬ美しさ。それこそが彼の求める美であった。
　また、彼は自分自身にもEmbalmingを施している。血の気の失せた継ぎの肌や、貧弱さはそれゆえだ。常人の目からすれば、不気味に蠢く死体だろう。しかし、彼の美を感じることのできる人間の目には、先の世に約束されたオールドローズの最高傑作にうつるだろう。

「手に届かぬもの、決して目に触れぬもの。・・・それこそが永遠の美なのさ」
「君は将来、今よりもっと美しくなるんだろうね。冗談？違うよ、心の底からの賛辞さ。・・・ただ、君が思うより少し先かもしれないけれどね」
「ボクみたいな醜男を美人だって？世辞を言うなら通じるやつに・・・へぇ、本気で言ってるんだ。ありがとう、よくできてるだろう？」
「薪が動いたら燃しにくいだろ？そのためのこれ（グレネード）さ。♪薪は燃やしてGoodbye 滅せ炎よ醜悪を♪」

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