クリーム色の体毛にワインレッドの瞳の色をしたタビットの青年。
迷宮王国グランゼールに生まれ、学者として生計を立てている。

グランゼールⅠ世と共に大迷宮を発見した仲間のひとりであり、
優れた魔導師であったプレプ・プレッセンの孫にあたる。
親族には魔術の扱いに長けた者が多い中、なぜか、自分は幼少期より
魔法が使えず、魔術師ギルド支部で学者としての道を歩んできた。
10代前半の頃より魔術師ギルド支部で見習いとして働き始め、
5年前より正式な研究職（記録係）として働いている。

「ラビ」というのは記録係に代々受け継がれてきた呼称である。
高名な祖父や親族一同と比較されるのがわずらわしく、
また、コネで職を得たと思われるのも癪に触るため、
身近な人にさえ自身の経歴は明らかにしていない。
少々不憫な境遇ではあるが、生来の天真爛漫な性格と
ギルドの良き同僚たちに囲まれて毎日楽しく暮らしている。

魔術師ギルドの一員である”知の紡ぎ手”ラビの一日は、
他のギルド員によってまとめられた報告書の整理から始まる。

「ふむふむ。あそこの迷宮で発見された魔法の品はこういう効果でしたか」
「迷宮〈欠片喰らい〉で周期的なマナの高まりが観測......興味深いですね」
「わ、もうこんな時間ですか。階層迷宮〈魔剣の遺志〉の調査に行かねば」

魔術の知識はあるものの実技が伴わないことから、
魔術師ギルドで研究職（記録係）として勤め始めて早5年.....。
先代のラビの仕事をようやく一人前にこなせるようになった頃に、
突如、グランゼール王城内に階層迷宮〈魔剣の遺志〉が現れた。

新たな知の発見にわくわくする一方で、
全く未知の迷宮に挑む冒険者の安全が気がかりでもある。
しかし、やっぱり、探究心を抑えることはできない。
今日も今日とて冒険者からの報告を楽しみにしながら、
転移門に現れる文字の解析に励むのであった。