ハーヴェス王国の王都ハーヴェスに住む、あるティエンスの音楽一家にて、どんな理由でか魔解種に生まれてしまった一人。５歳の時点では子供の演奏コンクールで優勝し、将来を嘱望されていた。しかし、『互いの意識を通じ合わせることによって音を合わせ、時には聴衆の心にも添わせる』という、ティエンス家系の能力を活かした演奏方針にそもそも適合できないクリスティンは、思春期以降大いに悩み、悩みすぎて演奏の実力自体も伸び悩み、家族からは他の進路を暗にすすめられてしまう様相だった。
　そして結局家系の楽団には参加せぬまま独り立ちしたその日、路地裏で出会った怪しい男の誘いを受けた。魔界種の力をティエンス本来の力に変える魔法のマントと演奏力を飛躍的に高める楽器を売る。などという話に飛びついてその当時の全財産をはたき…奈落教のマントと、｜扉の小魔《ゲートインプ》が入ったチェロ型の箱（なんと楽器ですらなかった）を渡されて奈落教の小拠点の一つである屋敷に浚われた。危機だ。だが、幼い頃から名前を付けて大切にしていた楽器（ヴィオラのシェスティナ）を破壊されたことでプッツン。契約したばかりの小魔と共に、覚醒した魔界種の力で暴れに暴れ、結果として支部を崩壊させる。
　その功績で何故か対奈落強会議に招かれる。そして、失った財産の補填を持ちかけられた際に見栄を張り、悪を倒せたのならば必要な経費であり、そもそも清貧な生活を貴んでいる、などとハッタリをぶち上げたら何故か貨幣神ガメルにも見初められてしまった。何故だ。
　結局その時から現在に至るまで、ハーヴェスで冒険者として活動している。名目は「大切な楽器を破壊した奈落教を滅ぼすため」であり、奈落教とは特に積極的に戦っているが、実のところ引っ込みがつかなくなっているだけである。一度奈落教大教会の正門（そもそもあるのか？）を【ターンバック・グレイス】で破壊する夢を見て、会議に参加する仲間からは予知夢と言われたが、たぶんただの夢だと思う。冒険者歴はそこそこ長くなってきたけどハーヴェスから旅してると言えるくらい離れたこともないし。
　なお、見栄で始まったからこそガメル神の教えには素直に従っているつもりであり、散財しては貨幣の流通と清貧を主張する。