アミア種という淡水肉食魚をルーツとしたマーマン。のウィークリング。
　集落としている川の近辺には人族の漁村があり、マーマンは魚を提供したり橋をかける手伝いをする代わりに、人族から陸の肉や資材を貰うといった交流が行われていた。
　二足歩行ができるウィークリングともなれば、交渉役として人族の住処に入り浸るのは必然のことである。

　あるとき、村に冒険者の一団が訪れた。旅の途中で立ち寄ったのだという。
　すでに魔法の心得があった彼は、その中にいた魔術師を指さし、手合わせしてほしいと申し出た。
その結果──コテンパンにやられた。
　「嘘だろ……俺の実力、"外"じゃまるで通用しねーじゃんか！」
　かくして、若かりしウィークリングは広い世界を志し、冒険者となったのである。

　お人好しで陽気な性格。一族が人族と仲良しだったため、人族/蛮族の区別があまりついていない。
　自分が蛮族だからという理由で、人族社会で敬遠されることを不思議に思っている節がある。
　好物は生肉・生魚。調理という概念がなく、なんなら生きたままガブリといく。こういうところは蛮族。
　火の通ったものも出されれば食すが、よく火傷する。

マーマンのウィークリング、生まれはIBの学者で
x3 2d+2d+2d+2d+2d+2d+3 #1
(2D6+2D6+2D6+2D6+2D6+2D6+3) ＞ 11[6,5]+7[3,4]+8[4,4]+7[4,3]+7[3,4]+12[6,6]+3 ＞ 55
#2
(2D6+2D6+2D6+2D6+2D6+2D6+3) ＞ 8[5,3]+6[2,4]+4[1,3]+7[3,4]+11[5,6]+7[5,2]+3 ＞ 46
#3
(2D6+2D6+2D6+2D6+2D6+2D6+3) ＞ 7[6,1]+5[2,3]+2[1,1]+6[3,3]+5[4,1]+3[1,2]+3 ＞ 31
1番目選択

冒険者

魔法技能

エンハンサー技能

アルケミスト技能

その他技能

（単位：100,000,000=1000万G以下切り捨て）

・ファミリアⅡ
・ブラックロッド
・メイガス
・アイオーン
・破運鎚ブラストフェイト
・防護の玉座
・冥府の仮宿
・テレオペぬいぐるみ（小）
・テレオペぬいぐるみ（大）
・カードシューター
・“屍食斧”ブッチャー
・深海魔剣アビス
・母娘の親愛杖
・錫杖の槍
・骸槍・レブリアント

形状

　あらゆる対魔系の能力を持つ魔物の革で作られた継ぎ接ぎの魔本(グリモア)。
　本は開かないように3本のベルトに1つずつ鍵穴があり、厳重に封がされている。

効果(呪)1

　魔本に気に入られなかった者が、3時間以上装備していた場合、難易度35の精神抵抗力判定を行い、失敗すると最大MPが-35点減少する。
　この効果は累積し、また、この効果でMPが0以下になった場合、廃人となり「知能」が「動物並み」になってしまう。
　また、この効果で失ったMPを元に戻す場合、【コール・ゴッド(大神)】クラスの奇跡が必要となる。
　なお、「魔動機」にはこの効果は適用されない。

効果(呪)2

　この魔本に対し、Lv15以下のPCが【センス・マジック】や【マナサーチ】等で、この魔本の魔力を明確に認識した場合、目標値35の精神抵抗力判定を行い、失敗した時、MPを「12」点減少する。
　この効果は精神効果属性として扱う。

効果1

　この魔本に封じられた魔神の知識から助言を受ける事ができる。魔神関係の魔物に対する魔物知識判定に「+3」のボーナス修正を得る。

効果2

　1日1回、MPを3点支払うことで、知力関連の判定に「+1」のボーナス修正を得ることができる。

概要

　四天禍魔神将『総督』”クトゥリア・カトゥルーが封じられた最大級の禁書。
　もし、軽々しく資格無い者が所持した場合、半日と経たずに其の物は知能を失い廃人になると言われている。
　逆に気に入られた者はその恩恵を受ける事が出来るが、現段階の恩恵は、3つの鍵で封じ込められた最低限のものでしかない。
　もし、鍵探しに協力するならば出来る限りの恩恵を受ける事が出来るだろう。
　しかし、気を4付けるが良い、この魔神が世に解き放たれれば、その場所の地方1つはその魔神の支配下に落ちる事だろう。

　装備者が使役しているアンデッドが破壊された場合、背中の棺の中で1日かけて完璧に蘇生される。
　但し余りにも禍々しい柩の為、装備者は穢れを+1点余分に受けている状態となる。

　このアイテムは魔神の封入具を兼ね、3体までの魔神を封入できる。
　このアイテムを魔神の封入具として使用する場合、「自身のデーモンルーラー技能レベル+2」レベルまでの魔神を封入することができる。
　また、魔神が暴走した際、暴走表の2～3の効果を無効化する。

　この契約書を使用して【デモンズゲート】を行使し、魔神と契約する場合、契約時の封入判定に+5のボーナス修正を得る。
　また、召喚できる魔神のレベルを本来の+5までに引き上げる。さらに、この際の契約に供物を必要としない。

　この魔晶石はMP150点分として通常どおり使用できるほか、ミスリルゴーレム+20を作製する素材として使用できる。強化アイテムのひとつとして扱い、ゴーレムが破壊されても失われない。
　このアイテムを使用して作製したミスリルゴーレムは、BT126頁に記された能力に加え、全能力値+20、打撃点・防護点+60、HP+120に強化される。
　ミスリルゴーレムの作製方法は、【クリエイト・ゴーレム】によるシルバーゴーレムの作製に準ずる。強化アイテムも使用できるが、4部位として扱う。

　主動作で、行使判定の達成値50として魔法を行使する。補助動作で行使できる魔法は、補助動作で使用できる。
　MPなどの消費は発生せず、マギスフィアの形状変形や、アイテムの消費もこのスクロールが肩代わりをする。
　魔法には術者の戦闘特技を適用できる。魔法拡大で倍化する場合でも、消費するスクロールは1枚のみ。
　効果時間は最大で1日までとなり、本来それ以上の効果時間を持っていても1日経過時点で効果が消滅する。同じ種類の魔法は1日に1回までしか使うことができない。

　植物が存在する自然環境に限り、「○魔力充填＝20点」を得る（溶岩地帯、砂漠等はNG）
　魔力充填を既に所持している場合、回復量に+20

　カテゴリ〈スタッフ〉への加工アイテム。その武器を装備時、神聖魔法の魔力+2、消費MP-1

　回復魔法で威力表を使用するとき、C値8でクリティカルするようになる。
　ラーリスの余計粋な計らいで魔王の冠みたいなデザインになった。

　飲むとHPとMPを100点回復する。影などの部位にも効果が現れる。レンジャー技能によるボーナスは加算されない。

　刺した場所に温泉を沸かせる。10分で10人は入れる量の温泉になり、10分ほど入るとHPとMPが50点回復する。ただし、魔剣を刺せるだけの場所でなければならない。
　武器データはダガー+10

　補助動作で【レイスフォーム】を使用できる。
　生死判定に+10のボーナス修正を得る。失敗した場合、肉体は死亡するが、【レイスフォーム】を行った後のレイスとして活動が可能。その際に、行動回数を+1し、すべての行為判定に+10のボーナス修正を得る。
　肉体の蘇生を受けても穢れを上昇させずに蘇生が可能。
　このアイテムを装備した場合、目標値100の精神抵抗力判定を行い、失敗した場合、自身の装飾品の部位ひとつが使用不可になる。

　肌に吸い付き、血を吸収して綺麗に輝く結晶。
　血を吸収させた後の吸血純結晶を補助動作で砕くことで、1時間の間、行為判定+2を得る（10点まで累積）。また、HPを150点回復する。消耗品
　吸わせる血は分類が「人族」「蛮族」「動物」のものが有効。

形状

刃渡り50cm程の中華包丁の様な形状の斧です。禍々しいオーラを漂わせており、斬った相手の一部を増幅＆増殖させ、屍肉の兵士に変える能力を持っていると言われています。

対象にダメージを与えたとき、「▼屍肉兵」「▼肉削ぎ」「▼贄の晩餐」の中から効果を1つ選択し発動する。

▼屍肉兵

　攻撃した対象がいる場所に「屍肉兵」を1体召喚する。屍肉兵は同時に1体までしか召喚することはできない。

▼肉削ぎ

　対象にダメージを与えたとき、1d6を振り、その出目×10点分、対象のHPと最大HPを減少させる。

▼贄の晩餐

　この効果は、自身が従えている「アンデッド」がいなければ発動できない。削った肉をアンデッドに与えることで、その行為判定に+3のボーナス修正を与え、打撃点と防護点に+5する。この効果は1体に対し最大10回まで累積する。また効果時間は1日の間継続する。

○第3の腕

　身体から魔神の様な腕が生え、この魔剣を装備することができる。この武器を装備するとき、両手が塞がっていてもこの武器を装備できる。

▽魔食の刃

　この武器で対象にダメージを与えたとき、自身のHPとMPを15点回復させる。

○空腹の刃

　空腹なこの刃は、ただ振るうだけでも斬撃に空腹が纏わり付き、近くの獲物に食らいつく。この武器は、50m以内に存在する対象に対して、近接攻撃を仕掛けることができる。

▽肉断ち

　この武器で命中力判定を行い、その出目が「7」以上であれば、与えたダメージ分、その対象の最大HPを減少させる。

▽肉斬り包丁

　攻撃する対象の種族が「人族」「蛮族」「動物」「幻獣」である場合、この武器の威力が+15(95)され、またC値が「9」になる。

▼食肉加工

　この武器で斬ったものは「石」や「木々」「草」「部品」等の無機物であっても、「牛」「豚」「鳥」「人」の中の好きな部位の肉に変えることができる。また、変えたものは〈保存食〉として所持することができる（味は調理判定における達成値30程度の味である)。

☆スカル・シャーク号
　全長200m、Lv35のゴーストシップを呼び出し、使役する。収納するときは主動作。
　スカル・シャーク号の各種能力値は本来のゴーストシップの10倍、打撃点と防護点は20倍、HPとMPは100倍の数値になる。また、操霊魔法は17レベル、魔法適正＝すべてを習得している。
　スカル・シャーク号の内部にはカースドアーマー100体、レイス30体、ジャイアントゾンビ30体、アンデットジェネラル10体、ドラゴンゾンビ3体が存在しており、それぞれスカル・シャーク号と同じ能力値倍率を持っている。ただしこれらのアンデッドはフレーバーであり、戦闘時には使用できない。
　召喚されたスカル・シャーク号は、コア部位のHPが0以下になると消滅し、1日が経過すると復活する。この際には、内部に存在しているアンデッドもすべて補充される。

☆榴弾砲／170(177)／回避力／消滅
　「射程：100m」「形状：射撃」で、「半径6m／20」の範囲にいるキャラクターに「2d+240」点の魔法ダメージを与える。戦闘判定では12倍として扱う。
　この能力は1ラウンドに1回まで使用でき、この武器を装飾品として、背中か腰に装備している場合でも使用できる。

効果1

装備者は常に水中にいるのと同じ状態になる。

効果2

この武器でダメージを与えられた対象が「○水中適性」などを持っていない場合、行為判定-4のペナルティを受け、さらにその瞬間からラウンド終了を迎えるたびに、行為判定-1のペナルティを累積して受け続ける。

効果3

この魔剣によるペナルティ効果を受けた対象に再度攻撃する場合、「ダメージ」ではなく「減少」として扱われる。

効果4

水場のある場所で攻撃する場合、ダメージ＆減少値が3倍になる。
ここでいう水場とは、水中の移動力を持たないキャラクターに「水に浸かっていることによるペナルティ」が大小なり発生する状態を指します。
また、ヴァ＝セアンの特殊神聖魔法【ライディング・ロード】でもこの効果を得ることができます。

効果5

この武器で相手のHPを減少させた場合、その半分の値だけ、自身のMPを回復する。

効果6

補助動作でこの魔剣を体内に取り込むことで、水中に限り、行為判定+100、打撃点・防護点+200、移動速度が10倍になる。
この効果は装備者が「運命凌駕」を消費した状態でのみ宣言できる。

効果7

この魔剣でダメージを与えられ、さらに「○水中適正」などを持っていない対象は、判定の出目が「3」以下で自動失敗になる。この効果は「○絶対者」等の能力を上書きして与えられる。

効果1

事前に自身が作成したゴーレム、またはアンデッドを1体を対象として選択する。
戦闘時、対象は独立した1つのキャラクターとして、順番を問わず任意で行動することが可能となる。

効果2

任意のタイミングでこのアイテムの所持者の行動回数または部位1つを行動済みにすることで、対象の行動回数を1回増やすことができる（複数部位を持つ場合は、いずれか1つの部位を対象とする）。

効果3

「効果2」によって行動回数が増やされた場合、対象はそのラウンドの間、行為判定に+20のボーナス修正を受け、さらに与えるダメージを+50点することができる。

形状

母と娘が抱き合っている姿の彫刻が柄についた木製の槍杖。割と持ちにくい。母と娘の彫刻部分は、割と頻繁に動き、槍杖が血を吸うと生き生きとする。

効果1

装備者の魔力+25

効果2

自身が使役している対象の行為判定+15、打撃点+25

効果3

使役対象（または奉じる神）との関係が深くなる（以心伝心で伝わるようになる、等）

効果4

▼母親の愛盾
ダメージを受けるときに発動し、そのダメージを半分にする。この効果は1Rに1回使うことができる。
使用するたびに、母親面した小娘が現れて「息子は母親離れできてないなぁ」と小言を言う。

効果5

〆生命の賛美
半径50ｍ以内の任意の対象に植物の芽を寄生させ、対象のHPを「2d@4+100」点回復する。
回復量が最大HPを超えた場合、超過した値と同じだけ、対象の最大HPが減少する。

効果6

▽寄生の王
この武器による近接攻撃で対象にダメージを与えたときに発動。
与えたダメージと同じ値だけ、対象の最大HPを減少させ、自身の全部位のHPを回復させる。また、この効果で回復した部位は、気絶状態から自動的に覚醒する。
この効果で回復した部位は戦闘の間、最大HPを+50する。最大HPの増加は累積し続けるが、この増加は1Rに1回しか発動しない。

効果1

神聖魔法【ブレス】【ブレスⅡ】【ホーリーブレッシング】で与えられる効果の値が2倍になる。

効果2

回復魔法がC値7でクリティカルするようになる。

効果3

この武器は聖印としても使用できる。

神聖魔法の魔力+20、神聖魔法の消費MP-5
このアイテムは聖印として使用できるが、第一の剣に連なる神の神官が使用した場合、おそらく出禁を喰らう。
このアイテムを装備した場合、セッション終了時に一般技能「冒涜審美」が+1d6レベル上昇する。
また、以下の能力が使用可能になる：

☆彼方よりの神の来訪／必中
1R1回、MP30点を消費することで触手の怪物を呼び出し、戦場の敵すべてに「自身の神聖魔法の魔力×4」点の魔法ダメージを与える。戦闘判定での倍率は12倍とする。

　「魔法使い系技能レベル+知力ボーナス+［一般技能：オーサー］レベル」の判定を行う。「達成値÷50（端数切り上げ）」の数だけ、使用者が行使できる魔法を込めた魔本を作製することができる。魔本を1冊作製するには6時間を必要とする。
　作製した魔本は、「使用できる魔法の数×50万」Gの値段で売却することができる。
　この本に記した魔法は、消費MPが0であり、魔本を所持しているだけで行使することができる。行使の基準は魔本を作製したキャラクターの魔力に依存し、それぞれの魔法は一度行使すると消失してしまう。その他の仕様は〈魔法のスクロール〉に準じる。

外見は狂王の磔

効果1

白骨の腕に装備させることで、「手」2つ分の装飾品を装備させ戦闘時に使用できる。

効果2

この武器でダメージを与えるとき、対象の持つ軽減効果、防護点を無視して現在HPと最大HPを減少させる。

効果3

この武器で「1」点以上のダメージを与えた場合、対象に取り憑いて、行為判定に−15のペナルティ修正を与える。この効果ではペナルティの下限値を無視して与えられる。

効果4

この武器で対象のHPを最大HPの1割以上減少させた場合、対象は1d3ラウンド後にHPが0になる。

魔神を1体契約下に置いて使役する。魔神の契約書を消費せずに召異魔法を使用できる。

　装備部位：任意（このアイテムは装飾品枠を使用しない）
　身体の任意の場所に魔力で造られた入れ墨を彫り込む。この入れ墨は3画の部位からなり、1画を消費することで、行為判定または威力表決定のサイコロを振った直後に、出目を+3することができる。
　令呪は1セッションごとに1画ぶん回復するが、3画が上限。
　このアイテムは1キャラクターにつき1つまでしか所有できない。

　言霊の力を詠唱に織り交ぜ、抗うという意思を握りつぶして支配します。
　魔法の行使判定と威力表の決定において、サイコロを2回振り、いずれかの結果を選んで適用することができます。
　この能力は、発声を伴って魔法を行使した場合にしか効果を発揮しません。
　またこの能力によって対象に禁止事項を指定することができます。対象が禁止事項を破った場合、「威力70+任意の魔力」で、クリティカル値6の魔法ダメージを与えます（戦闘判定においては、倍率を48倍として扱います）。
　使用例：「行動を禁止する」対象が主動作を行うごとにダメージ発生

　生死判定に失敗した際に自動的に発動する。また、補助動作でも魔神化を行うことができる。
　ドレイクの［剣の託宣／復活竜化］と同様、すべての部位のHPとMPが最大まで回復し、自らが望まずに受けている不利な効果やペナルティ修正をすべて、達成値の比べあいの必要なく解除できる。
　魔神化は1日につき、「自身の"穢れ"」回までしか宣言できない。
　魔神形態から通常形態に戻ることは任意のタイミングで行える。

　魔神化している間は、"穢れ"が0となり、すべての行為判定に+3のボーナス修正を得る。
　また、「分類：魔神」となり、背中に3本の蛇とタコの触手を混ぜたようなものが生える。
　［部位：触手］が3つ増える。HPは本体の半分（切り上げ）、防護点およびMPは本体と共有される。
　触手のHPが0になった場合、部位破壊として扱う。

　触手で近接攻撃を行う場合、武器データおよび効果は召異魔法【デモンズファング】を参照する。なお、威力は「30」となる。
　また、触手は「本体が習得している魔法レベル-5（妖精魔法は-5クラス）」までの魔法を行使することができる。このとき、魔力は本来の-5となる。
　戦闘特技は本体と同じものを使用可能で、部位ごとに異なる特技を宣言できる。
　ただし、1ラウンドにつき1回の行動しか行えない。《ダブルキャスト》および行使回数の増加にあたるものは使用不可。

　魔神化した状態で死亡すると、そのシナリオ間は復活することができない。
　復活する場合は、魔神召喚表を適応して、自身のLvと同じものの供物分のガメルを消費する。

　背中に生える触手が1本増え合計4本になります。また、魔神化しているときの行為判定のボーナスが+3から+4になります。
　触手が長くなり、半径20ｍ以内の対象に近接攻撃を仕掛けられるようになります。データは【デモンズファング】のままですが、威力が30から50に変化します。
　また、触手の行使できる魔法が本体の魔法レベル-5から、Lv-2に変化し、魔力も-5から-2に変化します。
　さらに特殊能力「〆魔神召喚」を取得しました。

　「上位魔神化」での［部位：触手］能力が強化され、［部位：尻尾］が追加されます。
　また、新たな能力「☆飢餓の晩餐」を取得しました。
　詳しくはカルヴァ（魔神将形態）を参照してください。

　1d10を振り出た目の数だけ、自身の魔物レベル以下の「種族：魔神」を召喚することができます。
　これにMPの消費はなく、呼び出された魔神はよほど理不尽な命令でない限り従います。
　召喚した魔神を送還するのは補助動作です。

　主動作で「魔物レベル+精神力ボーナス」の判定を行い、対象の精神抵抗力との対決で勝利した場合、「対象の魔物レベル×1000」ガメルを獲得する。
　この判定は戦闘中または戦闘判定中にのみ行える。

　主動作でMP20点を消費することでガルムを1d6体召喚する。
　召喚されたガルムは召喚者の指示に従う。

　主動作でMP30点を消費することで、魔物レベル「2d6+26」の魔神王を召喚する。
　この能力の効果時間は召喚された魔神王の気分次第。

　☆黄金の邪視／魔力／精神抵抗力／消滅
　対象に石化進行を与え、最終的に純金の像に変化させる。
　石化が完了したものは、「魔物レベル×2万」Gで売却することができる。
　この能力は1ラウンドに1回だけ使用できる。

　補助動作で、自身の姿を3m程の異形の赤子であるカルヴァ（邪神形態）に変化させます。ただし、その手番中に1度でも主動作を行ってしまったら、この能力は使用できません。
　この能力を使用した場合、後日、お布施としてラーリスに2000万Gの貢物をして1時間の祈りの言葉を捧げなければなりません。なお、この形態は1ラウンドが経過し、次の自身の手番になった時に通常形態（蛮族）に戻りますが、邪神形態時にHPを1点支払うことで邪神形態を維持して行動することが可能です。
　邪神形態のHPはセッション終了時まで、通常の手段では回復することはできません。

　1日に1回だけ、自身が振る任意の2d（判定、威力表など）の結果を確認した後、1d6を振り、その出目に加算する。
　超越判定でこの効果を使用した場合でも、超成功は発生する。
　自動成功が発生するのは、出目の合計が12である場合に限る。出目が13以上になった場合は自動成功と扱わず、通常どおり達成値を算出する。

　海蛇へと変化した姿。この形態には補助動作で変身することができ、元に戻るには主動作で行わなければならない。
　海蛇形態では基本的に牙での攻撃しかできないが、命中力、回避力に+50のボーナス修正を得る。
　また、特殊能力として「〆連続攻撃Ⅱ(攻撃回数3回)」と「〆締め付け」の攻撃方法、「○水中専用」を得る。
　「○水中専用」は飛行能力を得ると「▽水中適応」に変化する。なお、水中では移動力が5倍となる。
　装飾品等はこの形態に変化後も変わらず、《カウンター》や習得している秘伝も使えるが、武器は装備できない。

　腕を4本操作できるようになり、4Hぶんの腕が存在しているものとして扱う（2H、1H、1Hといった装備が可能）
　1ラウンドに1回、補助動作で自身の装備している装飾品を入れ替えることができる。
　登攀判定に+80のボーナス修正を得る。

　惑星ラクシアのエネルギーを吸い上げて、100年に一度、地上に1個だけ実る黄金の林檎。食すと体内に霊格を宿し、自身にもっとも適した能力が強化される。
　ラクシアにいる間、行為判定に+20のボーナス修正を得、与ダメージ・防護点が+30される。テラスティア大陸にいる間は、これらにさらに+10される。
　また、自身の"クラス"を選択し、それに応じた能力を獲得する。
・フォーリナー：ラクシア以外の存在に対する判定+5

　季節が秋である場合、行為判定に+10のボーナス修正を得る。

　魔神召喚時に供物を必要とせず、召喚する魔神の制限が撤廃される。
　魔神に対して一度に出せる指示に制限がなくなり、指示を拒否されることがなくなる。
　デーモンルーラー技能レベルを+5として扱い（冒険者レベルには影響しない）、召異魔法で使用する攻撃魔法の威力を+30する。また、邪神形態の「☑強化邪神撃」の追加ダメージに+30する。

　1日に1回、判定前に宣言。超越判定のクリティカル値が-3される（下限5）

▼【フェインデス】
対象：自身　射程／形状：自身／－　抵抗：なし　時間：1ラウンド
　確実な死を偽装し、愚者を油断させるエフェクト。
　自身のコア部位のHPが0以下になったとき、または、［剣の託宣／運命凌駕］等で死亡から復活した場合に限り使用できる。
　使用したラウンドの間、自身が振る威力表において、すべての出目に+2する。この効果でクリティカルが発生しても、サイコロが1ゾロだった場合は自動的失敗に終わる。
　このエフェクトは、一度の戦闘につき1回しか使用できない。

○【狂気の洞察】
対象：自身　射程／形状：自身／－　抵抗：なし　時間：常時
　因果関係を完全に無視して、正気の人間には絶対に知り得ぬこと、知っていてはならぬことを知るエフェクト。
　セージ技能を使用した判定において、「+冒涜審美技能レベル」のボーナス修正を得る。

〆【ありえざる記憶】
対象：1体○　射程／形状：接触／－　抵抗：消滅　時間：一瞬
　無力化（戦闘不能であったり眠っていたりする）対象に偽記憶を植え付けるエフェクト。
　対象がデータを持つキャラクターや魔物の場合、「任意の魔力」と対象の精神抵抗力で達成値の比べあいを行う。
　このエフェクトは、分類が「魔神」「神族」のいずれか含む対象には、一切の効果を上げられない。

　貫通化済み魔法：【ブリザード】【スパーク】
　対象が「○○無効」を所持していたとしても、その効果を貫通し、ダメージを与えることができる。
　ただし、この効果でボス耐性を貫通することはできない。
　選択できる属性は「雷」「炎」「水・氷」「風」のいずれか

　はたと、これは夢であると気がついた。
　夢の中にいることを自覚している夢。明晰夢というらしい。眠りが浅いときに見ることがあるというが、原理については正直よくわかっていない。この分野に関しては自分より適任がいることだろう。
　灰色と茶色が無造作に混ぜられた空間が、見渡す限り続いていた。
　視界は開けているはずなのに、いくら目を凝らしても焦点が合わない。全身に布が巻かれているかのように、感覚がぼんやりとしている。
　そのくせ嗅覚ばかりが過敏になっていた。これはよく知っている。溺れ死んだ人間が腐っていく臭いだ。

　「──通例、目覚める方法を探すって流れだよな」

　ひとまず口に出してみる。状況変化なし。
　漠然と、ここにいてはいけないような焦燥感を覚える。
　二の句を紡ぐこともなく、ほとんど無意識のうちに右足を踏み出した。一歩遅れて左足が出る。また一歩遅れて右足。左足。
　考えるのも面倒になって、そのまま足に任せることにした。どこへ向かうかは見当もつかないが、あえて留まってすべきこともない。歩き回れば何か変わることもあるだろう。

　────

　遠近感がまったく機能しない。壁かと思えば穴であり、くぼんでいるかと思えば突き出している。
　足下がぶよぶよと柔らかくておぼつかない。歩き出してからしばらく経って、自分が素足であることに気がついた。踏みしめる感覚がどうにも気持ち悪い。
　しばらく歩いていると、地鳴りのような音が響きはじめた。あるいはずっと鳴っていたのかもしれないが、それが響くたび、身じろぎのように一帯が蠢く。
　この奇怪極まりない大地は──この呼称で正しいのかは不明だが──脈打ってすらいるようだった。
　進むたび、腐臭は強さを増している。

　とんだ悪夢だ。どうせ明晰夢なら、もっと愉快な内容であればよかったのに。

　ますます気分が悪くなってくる。爪を立ててうなじを掻く。さっきから首筋を何かが這いまわっている感覚がする。
　不意に足に強烈な違和感。意識を集中させると、生温い液体が指の間から染み出していた。ピチャッ、と音を立てて足裏が濡れる。
　液体は先々まで続いているようだった。この大地は海にでもつながっていたのだろうか。
　ぼうっと視線を向け、ほどなくそれが血のような赤黒い色をしていることに気づいて、弾かれたように後ずさった。

　その時だった。
　後退したはずの足が、己の意志に反して前へと駆け出していった。

　「な……っ、あ……！？」

　驚愕に目を見開いたまま、赤い海の中を強引に進んでいく。しぶきが顔にまで跳ね、目や口に飛び込んできた。
　こんな状況でも嗅覚は生きていて、口内から突き上がる腐臭にぞっとする。これは腐った血そのものではないか。

　「う、うわああああッ！　や……やめろ！　止まれ！　止まれッ！」

　走る足が止まらない。止まらない。止まらない。
　わき目もふらず血の海へと突き進んでいく。半狂乱で足を叩き、物質転移の詠唱を叫ぶも、応えるものは何もなかった。当然だ。ここは夢の中なのだから。

　突然地面がなくなり、血の海に沈み込む。
　反射的に顔を上に反らしたその時、天と"目が合った"。
　眼が、あったのだ。一対の眼が浮いている。眼だけではなかった、鼻もある。口もある。

　空いっぱいに広がる腐りかけの肌に、己の顔が浮いている。

　『お前の身体だ。カルヴァ』

　そういって、嗤った。
　まぎれもなく自分の声で嗤った。

　「お、俺は──」

　血の海に沈む。
　開いた口に流れ込んでくる。息ができない。
　思考が塗りつぶされる。何も見えない。何も感じない。
　ドクン、ドクンと響く鼓動が、だんだんと小さくなっていく。
　どこか遠くで、祝福するように誰かが笑っている。
　眠るように意識が沈む。

　深く、深く、沈みゆく。

　────

　うるさい心臓の音で目を覚ました。

　なんだか、とてつもなく悪い夢をみていた気がする。全身に疲労感がのしかかり、寝巻きがぐっしょりと濡れている。
　どんな夢だったのか……どうにも思い出せないが、あまりよくない内容だったのだろう。
　外は暗く、月の位置から考えて、夜明けまではまだ長そうだった。
　大きくため息をつく。こうも寝つきが悪くては明日に障る。服を着替えて水を飲んで、もう一度寝直そう。

　重い体を引きずって、ベッドから起き上がる。
　机の隅にある魔導ランタンに魔力を流し込み、明かりを灯す。
　そして──夜闇で鏡のように反射する窓を見て凍りついた。

　水中で暮らすマーマンには発汗機能がない。ゆえに、寝汗をかくこともない。

　窓に映る自分と目が合った。
　その首回りが、爪で掻きむしられたように血に染まっていた。

　深く、深く、沈みゆく。

　ここは、どこだろう。バラバラの感覚が漂い、あてどもなく流されている。
　世界はどこまでも無秩序に広がり、ありとあらゆる色にうねり輝きながら、ずっとざわざわと蠢くような音を立てていた。
　目の前に人がいる。手足は際限なく伸びきって、顔もぐにゃぐにゃと曲がりくねり、2秒おきに笑ったり泣いたりを繰り返している。とかく不恰好で、なんだか滑稽だ。
　誰かの声がする。誰かを呼んでいる。歓喜と悪意の入り混じった声で、呼んでいる。

　揺蕩う無秩序が波をうって、おもむろに集約する。
　砂漠の真ん中にぽつんと浮かぶオアシスのように、小さな泉が現れた。
　そうしてやっと、ひとかけらだけ、自我が戻ってくる。
　泉の傍に佇んでいることにようやく気がつく。水面でぐにゃぐにゃと揺れる滑稽な顔も、やはり自分であった。

　これは夢だ。もう何日も見続けている悪夢の一端。
　腐り落ちた自分の顔だとか、口だけがついた仲間の頭だとか、手にかけた相手の首だとか、そういうものを見せつけては訴えかけてくるのだ。

　『蹴散らせ、消し飛ばせ、叩き潰せ！！』
　『進め、進め、進め！！』

　これがお前だと。お前という存在であると。

　とりとめもなく思考が錯綜する。自我をまた少しだけ取り戻す。
　ぐずついた視界によぎる、自分であって自分のものでないような、曖昧な記憶。
　目を凝らそうとして、少しだけ息苦しくなる。濁った海の底を覗き込むのに似ている。
　自分を見上げる仲間たちの表情ばかりが、やけに鮮明に焼きついていた。
　それらは驚愕か。憐憫か。焦燥か。
　あるいは軽蔑か。叱責か。失望か。
　彼らは何を見ていただろうか。俺を見ていただろうか。俺として見ていただろうか。

　それを思い返すごと、己という存在がひどく不明瞭になっていく。
　水面がゆらめく。映る顔が醜悪に嗤う。

　──俺は、何だ？
　──決まっているだろう、そんなことは。

　不意に、どこか懐かしい匂いが鼻に届いた。
　日の当たらぬ黴(かび)の匂い。埃に埋もれた紙の匂い。
　気づけばそこには本があった。つぎはぎの革と3つの錠で覆われた本が。

　──ああ、あの日の匂いだ。

　指先でゆっくりと、ひどく丁重に、眼前に現れた本の表紙をなぞる。
　すると、本がひとりでに開き、頁をめくりはじめた。描かれているのは、何者かの数奇な半生。

　吸い込まれるように本に手を伸ばす。幾千の魔導書の中でそれだけを選んだのは。
　いざなわれるように鍵に手を伸ばす。決して後戻りはできない選択を掴んだのは。
　取り憑かれるように錠に手を伸ばす。滅びへの道と知りながらも解き放ったのは。

　魔神と契り、魔神を従え、魔神に成り──そして、魔神を統べる。
　なんとばかばかしい物語だろうか。出来すぎもいいところだ。感興も訓示もありはしない。
　半端者のモヤシ野郎(ウィークリング)くずれが、異界の力を手にして王にまで成り上がるなど！

　そんなものは。
　そんなものは、なんと呼ぶのか？

　唐突に、思考が冴えわたった。
　夢の中で、輪郭が次々と形をなしていく。描かれた記憶が手に取るようにわかる。
　確信的な帰結だった。そうでなければ説明がつかない。まったくもって論理的ではない。
　風で水面が揺らぎ、水の中の異形が愛おしそうに微笑んだ。こういうものをなんと呼ぶか、"俺"ならとうに知っているだろう？

　「"運命(フォルトナ)"……」

　ドクン、と心臓が跳ね上がった。
　鼓動に乗せて、これが答えだと言わんばかりに、冒瀆的な響きが耳に届く。
　否、最初から──本と邂逅したあの瞬間から、ずっと聴こえていたのだ。
　何もかもが定められていて、すべては不可避で不可逆で。
　目を見開く。視界は完全に開けている。言いようのない達成感がおぞましく全身を充たす。

　「ハ……ハハハハ……！　ああ、そうか、全部そうだったのか」
　「わかった、ようやくわかったぜ、アンタの教えってやつが」

　大声を上げて笑った。水の中のそいつもつられて笑った。
　すべての結末が規定されているならば、お前はどう生きればいい？
　拒むから苦しむのだ。抗うから悶えるのだ。
　答えなど、もはや自明に等しいではないか。余計な考えは手放して、定めに身を委ねて、そして。

　"汝の為したいように為せ"

　ああ、なんと甘美で絶望的で、破滅的であることか。
　この教説は最大限の自由を許す一方で、それ故に自由意志を否定する。
　すなわち──何をしたって結末など変わらないのだから、思うがままに振る舞えばよいのだ。

　くつくつと笑いがこぼれる。なんとも回りくどい諭し方をするものだ。いいだろう、その教えに応えようではないか。
　この心すらも必定というならば、あらゆる畏敬と侮蔑をこめて、慈悲深くも残酷なアンタを神と讃えてやる。天に唾吐く俺を見下ろして、きっとほくそ笑んでいるに違いない。

　ふと、古代の賢者が遺したという稀覯書の一節を思い出し、さらに笑いがこみあげる。
　これは傑作だ。たちの悪い冗談としか思えない。これほどにまで決定的なことがあるだろうか。
　死後のあり方すら予定されているという思想を"予定説"という。そして、それに基づく諦観じみた生き方のことを──"カルヴァニズム"と、そう呼ぶのだ。

　本は最後の頁を開いている。そこに唯一綴られた呪文を、朗々と詠み上げた。
　爆発の如き力の奔流が視界を押し上げていく。天が近づき地は遠ざかる。高みに上っていくのがわかる。
　ちっぽけな水面になど到底収まらない姿があった。おぞましくも名状しがたき怪物。深遠にして偉大なる王。

　そう、これが俺なのだ。
　俺という存在は、このように定められている。

　さあ、自由になろう。今やなにも縛るものはない。
　世界が極彩色に輝いている。沸き立つ声が祝福している。
　どこまでも上ってみせよう。すべてを見届け、受け止め、掌握してやろう。
　解き放たれたる運命の最果てを。

　────

　穏やかな光で目を覚ました。

　なんだか今日は、よく眠れた気がする。眠りの神の魔法をかけてもらったのが効いているようだ。神官には謝辞を告げねばならない。
　さっきまで夢を見ていたような記憶がぼんやりと残っている。子細には思い出せないが、きっといい内容だったのだろう。
　カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。少し早いが、食事前の運動をするにはちょうどいい。

　軽々とした身体を起こして、ベッドから立ち上がる。
　凝り固まった関節をほぐして、大きく伸びをする。

　そして──窓の外へ目をやり、天に向けて不敵に笑った。

　かぼすけはさめざめと泣いた。
　迷宮から〈デッドソードエクリプス〉なる魔剣を持ち帰った日のことである。宿に戻るや否や、すこぶる不機嫌な主人に部屋へと押し込まれ、頭のてっぺんから足の爪先まで、徹底的に調べ尽くされた。
　それもお風呂に入る間もなくだ。齢19の少女の肌にとってメンテナンスがどれだけ重要なことか、この男にはわかっていないと見える。
　声高に訴えた説得も虚しく、かぼすけは身ぐるみをひん剥かれ、無機質な冷たい台──外科医(サージョン)がいうところの手術台──に磔にされたのだった。

「……異常なし、か。なんなんだよ、まったく」

　吐き捨てるように主人は零し、ようやくかぼすけの拘束を解いた。
　かぼすけはひとしきりさめざめと泣き、それから30度ばかり首を傾げた。異常検査であるからには、これは喜ばしい結果のはずだ。しかし今の言葉からは、どこか「期待外れ」という感情が読み取れた。

「なンで？　何もないならよかったンじゃないノ？」
「いいわけねぇだろ。あの剣持って散々暴れ散らかして、俺の指示もいっさい受け付けなかったのに、何も痕跡が残ってないなんておかしいだろうが。エラーが見つからないことが一番問題なんだよ」

　そうだッけ。かぼすけは首の角度を45度にした。
　正味のところ、〈デッドソードエクリプス〉を握ったときのことをよく覚えていないのである。
　神殿に似つかわしくないカジノ部屋に転がっていたその剣を、興味本位で手にしたことは確かだ。その瞬間、とてつもない情報量が脳に押し寄せ、感覚野を吹き飛ばし、何もわからなくなってしまった。
　それは魔剣に宿る怨念の類か、神代の魔力といったものであろうが、あいにくそれを解する知能をかぼすけは持ち合わせていなかった。
　そして吹きすさぶ情報の嵐の中、剣を両手で握りこもうと、〈クレセント・ローズ〉──オルナからもらった大事な愛鎌を手放しそうになったのだ。その瞬間、かぼすけの意識は急激に浮上した。
　気がつけば、臨戦態勢の仲間たちに囲まれていた。激戦の跡が広がり、実際に何人かは死線を乗り越えたような目をしていた。
　横たわる騎獣の前に立ち尽くすドワーフの姿を見て、かぼすけは瞬きをした。いつだったか、彼女に〈死を呼ぶ剣(デッドコール)〉を渡されて手合わせを求められたことがあったが、「剣に乗っ取られる」というのはこういう感覚なのかもしれない。
　かける言葉を探していたところで、夜叉の形相をした主人に殴り飛ばされ、今に至る。グーであった。

　お気に入りの衣装が床に無造作に投げ出されているのを見て、かぼすけは悲しい顔をした。それをひん剥いた張本人は早々に興味を移し、こちらに背を向けて魔剣の分析に取りかかっている。この主人というものは、自らの創造物への応対がおざなりになるきらいがある。
　ぶつぶつと思考を口に出しながら、彼はいつまでもこの一件に固執していた。
　かぼすけの脳天を文字通り開いておきながらなおも怒り心頭という様子であったが、その多くは彼自身に向いているようだった。

「その剣、もう大丈夫だと思うヨ。最初はワーッて言ってきたケド、床にブン投げたら、なんも言ってこなくなったカラ」
「あのな、そういうことじゃねぇんだよ。次また同じことが起きねぇように、対策練らなきゃいけねぇだろ。
　お前ひとりにあいつらが手こずらされたんだ。敵が沸いたらどうなってたか。また前後不覚になられたらこっちが困る」
「エー、前後不覚ッテ、ヒトのコト言えないデショ。変身したら話も通じないんだカラ」

　男の動きが止まる。かぼすけは続けた。

「力がコントロールできなくなるなんて、今に始まったコトじゃナイし。まぁしょうがないンじゃナイ？　前からソウだったし」
「変身で頭ブッ飛んじゃうのも解決できてナイもん。でも、受け入れたからオッケーって感じデショ？」
「てか、調べるのも普段そこまで時間かけないよネ。もう深夜なんだケド」
「それだけ調べ尽くしたら、もう何も出てこないってコトにならない？　まだ見つかんないノ？」

　的を射た発言をしていると、かぼすけには自信があった。この男の思考は「自分自身のことのように」わかるのだ。
　魔法の知識も戦闘の心得も、この男を模倣(コピー)しろと、そう指示されていた。
　それなのに、なぜだろう。
　何も言葉を返してくれない。

「まッ、結果オーライ！　俺もピンピンしてるし、みんなも生きてるし、何も問題ナッシング！
　性根詰めすぎたらまた寝不足になるカラ、ホドホドでイイと思うヨ。……アレ？　もしもーし？　立ち寝してル？」
「……今日は終いだ。風呂にでも行け」

　どこか上の空で、主人はつぶやいた。かぼすけは素直に頷いて、パタパタと部屋から立ち去った。
　かぼすけはアンデッドである。たまに人族にもなるが、主人に命令されればそれに従う。
　操霊術師とその被造物。
　彼らの関係は、それ以上でもそれ以下でもない。