ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

ギンコ・マキリ - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

陽を喰らう狼(スコール)ギンコ・マキリ

プレイヤー:さなっぺ

自由登録 基本ステージ

 
「何見てんだ、ぶっ壊すぞ」

年齢
25
性別
星座
不明
身長
176cm
体重
62kg
血液型
不明
ワークス
UGNエージェント
カヴァー
ストライクハウンド隊員
ブリード
クロスブリード
シンドローム
ウロボロス
ノイマン
HP最大値
32
常備化ポイント
4
財産ポイント
4
行動値
12
戦闘移動
17
全力移動
34

経験点

消費
+64
未使用
0
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自 物心ついた時には、目の前には人の死が転がっていた。それが当たり前だった。
戦争孤児
経験
邂逅
覚醒 侵蝕値 戦争の中でいつの間にか感染し、覚醒した。
感染 14
衝動 侵蝕値 彼女は破壊を望んだ。平和より無秩序を。均衡より偏向を。統一より歪曲を。戦うことが、それら全てを与えてくれる。
破壊 16
その他の修正8実験体+5 原初の黄+3
侵蝕率基本値38

能力値

肉体1 感覚1 精神10 社会1
シンドローム1+0 シンドローム1+0 シンドローム2+3 シンドローム0+1
ワークス ワークス ワークス1 ワークス
成長 成長 成長0 成長
その他修正 その他修正 その他修正4 その他修正
白兵 射撃 RC1 交渉1
回避 知覚1 意志 調達1
情報:UGN1

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
Dロイス 実験体 "ロストナンバー" 精神+4
"オブシネイター" 天ヶ瀬典明 連帯感 隔意 チルドレン時代の同僚。
久木静流 執着 脅威 ストライクハウンド部隊長。唯一ギンコと渡り合う実力を持つ。

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
螺旋の悪魔 5 セットアッププロセス 自動成功 自身 至近 3
暴走付与。ラウンド間、ウロボロスのエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力を+[Lv*3]。
原初の黄:冥界の檻 1 セットアッププロセス 自動成功 範囲 至近 5
(冥界の檻)対象に硬直付与 自身が移動時に解除 Lv回/シナリオ
無形の影 1 メジャーアクション 効果参照 4
【精神】で判定。1回/1ラウンド
シャドースクラッチ 3 メジャーアクション 〈白兵〉〈RC〉 自動成功 自身 至近 3
攻+LV。【組み合わせ:《無形の影》】Atk+Lv→[Lv*2]。
猛り喰らうもの 1 メジャーアクション 〈白兵〉〈RC〉 自動成功 自身 至近 3 リミット
【ミリット:《シャドースクラッチ》】Atk+2D。【組合せ:《無形の影》】Atk+2D→3D 1回/1シーン
崩壊へのヘリックス 3 メジャーアクション シンドローム 対決 3 リミット
【ミリット:《螺旋の悪魔》】Atk+ [Lv*5] 1回/1シナリオ
原初の白:クレイジードライブ 3 メジャーアクション シンドローム 5+2 80%
Atk+[Lv*4]。暴走状態時のみ使用可能
戦闘嗅覚 1 メジャーアクション 対決 4 80%
あらゆる攻撃判定と組み合わせ可 Atk+【精神】 Lv回/シーン
コンセントレイト:ウロボロス 2 メジャーアクション シンドローム 対決 2
C値-[Lv]
傍らの影法師 1 メジャーアクション 効果参照 自身 至近
自分の影を立体化させ、人間や動物の姿に変えて付き従わせる。
まだらの紐 1 メジャーアクション 効果参照 効果参照 視界
影に知覚能力を持たせ、あらゆる隙間に入り込むことが可能で、その先のものを見聞きすることができる。

コンボ

組み合わせ
螺旋の悪魔
タイミング
セットアッププロセス
技能
難易度
自動成功
対象
自身
射程
至近
侵蝕値
3
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
15
100%以上
18
160%以上
21

暴走付与。ラウンド間、ウロボロスのエフェクトを組み合わせた攻撃をAtk+[Lv*3]。

組み合わせ
原初の黄:冥界の檻
タイミング
セットアッププロセス
技能
難易度
自動成功
対象
範囲
射程
至近
侵蝕値
5
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
100%以上

《冥界の檻》対象に硬直付与/自身が移動時に解除/lv回:シナリオ

組み合わせ
《無形の影/シャドースクラッチ/コンセ:ウロボロス》
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
単体
射程
至近
侵蝕値
9
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
10
8
1
6+15
100%以上
10
7
1
8+18

《螺旋の悪魔》適応
《無形の影》判定を『精神』に変更 1回:ラウンド

組み合わせ
《無形の影/シャドースクラッチ/猛り喰らうもの/コンセ:ウロボロス》
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対象
射程
侵蝕値
12
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
10
8
1
6+15+3d10
100%以上
10
7
1
8+18+3d10

《螺旋の悪魔》適応
《無形の影》判定を『精神』に変更 1回:ラウンド
《猛り喰らうもの》1回/シーン

組み合わせ
《無形の影/シャドースクラッチ/原初の白:クレイジードライブ/戦闘嗅覚/コンセ:ウロボロス》
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
単体
射程
至近
侵蝕値
20
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
80%以上
10
8
1
28+15
100%以上
10
7
1
34+18
160%以上
10
7
1
40+21

《螺旋の悪魔》適応
《無形の影》判定を『精神』に変更 1回:ラウンド
《戦闘嗅覚》80%エフェクト/Lv回:シーン
《クレイジードライブ》80%エフェクト

組み合わせ
《無形の影/シャドースクラッチ/猛り喰らうもの/原初の白:クレイジードライブ/戦闘嗅覚/コンセ:ウロボロス》
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
単体
射程
至近
侵蝕値
23
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
80%以上
10
8
1
28+15+3d10
100%以上
10
7
1
34+18+3d10
160%以上
10
7
1
40+21+3d10

《螺旋の悪魔》適応
《無形の影》判定を『精神』に変更 1回:ラウンド
《猛り喰らうもの》1回:シーン
《戦闘嗅覚》80%エフェクト/Lv回:シーン
《クレイジードライブ》80%エフェクト

組み合わせ
《無形の影/シャドースクラッチ/猛り喰らうもの/原初の白:クレイジードライブ/戦闘嗅覚/崩壊へのヘリックス/コンセ:ウロボロス》
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
単体
射程
至近
侵蝕値
26
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%以上
10
7
1
34+18+20+3d10
160%以上
10
7
1
40+18+25+3d10

《螺旋の悪魔》適応
《無形の影》判定を『精神』に変更 1回:ラウンド
《猛り喰らうもの》1回:シーン
《戦闘嗅覚》80%エフェクト/Lv回:シーン
《クレイジードライブ》80%エフェクト
《崩壊へのヘリックス》1回:シナリオ

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
0 194 0 0 194 0/194
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

''プロフィール''

UGN特殊戦闘部隊「ストライクハウンド」のメンバー。

アジア系の血筋ということ以外、彼女の出生については謎。
日本支部に派遣されてからは、麻桐銀子(マトウギンコ)という名前で登録されている。

隊の中では比較的長く在籍しているが、素行や言動が問題となることが多いため、管理職になれずに常に戦闘部隊に配属される。
ノイマンのシンドロームを有しているが、その能力は全て戦闘能力へと還元されているため日頃の地頭は並。
大柄で大雑把。人の話を聞いているのかいないのかわからない。作戦前のブリーフィングでもよく居眠りをしている姿が目撃されている。しかし一度戦場に出れば、その戦闘能力に疑う余地がないことを証明するように、常に戦果を上げ続けた。
彼女の普段の行いに上層部からのお咎めが無いのは、“標的を狩る”というその一点において、彼女のこれまで上げてきた功績に文句をつけられる人間がいないからだ。

彼女のもう一つのシンドロームは『ウロボロス』。
影を操り、自身の中のレネゲイドを活性化させて身体強化を行う。そして、レネゲイドを喰らうレネゲイド。それが彼女の能力。
彼女のそばにはいつも影で作られた大型の獣がいる。「ハティ」と呼ばれる影の獣は、ギンコの唯一の友人だ。
彼の本質は影だが知覚能力を有している。自身を自由自在に形状を変化させることが出来、潜入捜査や斥候として非常に重宝されている。

そもそもウロボロスは近年になって発見されたシンドロームであり、その適合者は数少ない。UGNもこのシンドロームに関しては情報が不足しており、様々なレネゲイドウィルスの研究機関が研究を行なっている。

ウロボロス専門研究機関「Annulus lab」。
UGN所属のレネゲイド研究機関で、ウロボロスシンドロームのみを研究対象とするラボラトリー。
表向きの顔はUGN管轄の研究機関の一つだが、裏ではレネゲイドウィルスに感染した幼い少年少女を保護し、後天的にウロボロスシンドロームを発現させる実験を行っている。
しかし、実験対象となるオーヴァードのウィルス感染率や、能力を扱うための身体能力、元々持っているシンドロームとの相性、その人間のウロボロスシンドロームとの適合性など、クリアしなければならない項目があまりにも多く、ほとんどの子供たちは適合しなかった。それどころか、オーヴァードとしての能力が低いと、最悪の場合ジャーム化してしまうような、危険な実験が繰り返されていた。
ギンコも幼い頃にオーヴァードとして覚醒した後、Annulus labへと連れてこられ、非検体となり、様々な薬品を投与され、ウロボロスの受け皿として管理、研究を施された。
そしてギンコは、Annulus labで初めてウロボロスを発現させたオーヴァードとなった。

ギンコの戦闘流儀は「1on1"タイマン"」。
武器は持たず、自分の身体全てを使って戦闘を行う。
ただ闇雲に戦うのではなく、その戦闘行動一つ一つに意味があり、非常に効率的な戦闘を行う。戦闘中の彼女の思考は名刀のように研ぎ澄まされ、身体はコンピュータプログラムのように正確にコントロールされる。
彼女のことをよく知らない者が見れば、ギンコのパーソナリティとバトルスタイルの乖離に困惑し、戦いに身を投じる者が見れば、美しさすら感じる彼女の一挙手一投足に目を奪われる。

彼女の価値基準はただひとつ、純然たる『強さ』である。
弱きものは死んでいくのが世の常。そういう世界で生きてきたギンコにとって、死にゆくものへの同情は一切ない。
そして強き者へは最大級の敬意を払い、己の持てる全ての強さを以って打ち倒す。それこそが彼女にとっての最上の至福なのである。


過去

戦争孤児として生まれ、物心がついた時から戦場にいた。
武器を持ち、誰かも分からない相手を、己が生きるために殺した。
彼女に親も、名前もない。小汚い小刀、という侮蔑を含んで“マキリ”と呼ばれた。
誰に教えられたわけでもない。ただ本能が、生きることを選んだ。
しかしいくら殺しても、生きても、殺し合いは終わらない。
永遠にさえ思えた戦いは、実にあっけない幕引きを迎えた。

視界の外から放たれた流れ弾に胸を貫かれ、大量の血が噴き出る。
しかし彼女はそれでも、戦いをやめなかった。目の前にある首を刎ねてから、片手で噴き出る血を押さえる。
今まで体験したことのない苦しみ。しかし不思議と痛みは少なかった。
それよりも、この危機的戦況を冷静に分析し、ここから数時間程度敵に見つからずに傷ついた身を癒すための最適な場所を見つけようとしている自分自身に心底驚いた。

探し見つけた物陰に腰を下ろし、小さく一つ息を吐いた。
視線を上げると、いつの間にか身なりの良い格好をした男性が、彼女のことを見下ろしていた。

「……何者だ、あんた」

敵意はない。しかし物音一つ立てずに現れた人間を、注意深く観察しない戦士はいない。
目線を決して外さず、相手の出方を伺う。
男性はゆっくりと両手を広げて、こう言った。

「おめでとう。そして、ようこそ、こちら側へ」

男が一言そう告げた瞬間、彼女の意識が暗転した。


覚醒

無機質な部屋。真っ白で簡素な服。一定の間隔で身体に投与される薬品。
しかしそれでも、今まで生きてきた世界とは比べ物にならないほどの待遇だった。
慣れない食事に何度も嘔吐を繰り返したが、それでもなんとか身体が適応していった。

そんな生活が何ヶ月続いただろうか。
彼女の中には、ある一つの感情が渦を巻いて肥大していた。

『ああ、なんでもいいから、ぶっ壊したい』

破壊衝動。その感情はあまりにも澱んだ暗い感情だった。
今まで生きるために壊してきた。だが生きることが容易くなった今、なんのために壊せばいいのか分からない。
通常であれば違和感を覚えるような思考も、彼女にとっては至極当然の疑問だった。

それから彼女は部屋の扉を破壊して、施設の中を徘徊するようになった。
鬱憤を晴らすように、目についたもので壊しがいのありそうなものを壊してまわった。
その度に白い服を着た大人たちに、不思議な力で押さえつけられたが、あまり注意などはされなかった。



「無駄なことはしない方がいい」

ある日のこと。別の部屋の扉を破壊した先にいたのは、自分と同じくらいの年の男子だった。

「うるせえ。壊されてえのか」
「その点においては問題ない。オーヴァードは、壊れない」
「オー…なんだって?」
「オーヴァード。人間を超えた人間、怪物、化け物。君のその内から湧き出る力、高揚感、負の感情。それは全て、レネゲイドウィルスという未知の病が原因だ」

全てを悟り、見透かすようなその瞳で彼女をじっと見つめていた。
その視線に強烈な嫌悪感を抱きながら、しかし視線を外すことができなかった。

天ヶ瀬典明は非常に優れた知性をもった子供だった。
この場所の事、自分たちの持つ人ならざる力の事、これからの事、全てを教えてくれた。
非常に癇に障る話し方で、ことあるごとに言い合いになったが、それでも中身のない口論になることはなかった。

「君は、名前がないのか」
「ああ、周りからはマキリって呼ばれてたな。ここの連中からもそう呼ばれてる」
「…君、意味がわかっているのか?」
「知らねえし、知りたいとも思わねえ。名前なんてただの記号だ」
「ふむ、確かにそういう考え方もある。しかし、記号ということであれば尚更簡潔で、わかりやすくあるべきだ」
「間に合ってるよ。大体今更呼び方変えられたって慣れないだろ」
「人間の順応力を侮ってはいけない。それは君自身がこの場所で一番理解したことじゃないかい」
「……」
「君の髪の色は、銀色っていうんだ」
「ギン…?」
「ああ。だからこれから君は『ギンコ』と名乗るといい」
「コ?ってなんだよ」
「それは名で性別を表すのに用いられる、非常にポピュラーな句だ」
「…お前、頭いいくせに、そういうセンスは皆無だな」
「名前はただの記号、と言ったのは君だろう」
「うるせェ、それ以上喋んな」
「自分の立場が危うくなると会話を中断する癖はなるべく早く直したほうがいい。これからUGNという大きな組織の中で生きていくのならば、その癖は君の不利益になる」
「相変わらず人の話を聞かねーやつだなお前は。オレは喋んなって言ったんだぜ。大体、オレは戦うの専門だ。そういうのはお前みてーなやつがやりゃあいんだよ」
「自身の能力の無さを他人へ転嫁させる。無知とはやはり人間が恥ずべき欠陥だな」
「てめぇ……それ以上喋れば本気でブチ壊す…!」

扉を開けて、白衣の男性が入ってくる。
「天ヶ瀬典明君。こちらへ」

一言返事をして、一度もギンコを振り返ることなく、天ヶ瀬は奥の部屋へと入っていく。
後ろ手に腕を組み、椅子に浅く腰掛け直す。視線は逸らすことはなく、その背中をじっと睨みつけていた。



ノイマンとして類稀な能力を有し、UGNの中でエリートコースを歩み始めた天ヶ瀬典明。
未知のシンドローム『ウロボロス』を発現させ、UGNの特別監視に置かれることとなったギンコ。

本来であれば、決して交わることのなかったはずの二人。
しかし数奇な巡り合わせで出会った2本の線は、お互いが望まずとも、いつか運命の再会を果たす。


ストライクハウンド入隊

ギンコは、ウロボロスという近年新たに発見されたシンドロームの適合者だった。
戦闘力は申し分なく、また幼少から戦場に身を置いており、非凡な戦闘センスをも持ち合わせていた。
しかし、その異端の力は幼い少女が押さえ込むにはあまりにも膨大だった。

UGNの保護下に置かれた後も、破壊衝動に飲まれることが多々あった。
レネゲイドの力をコントロールする術を、彼女はまだ持ち合わせていなかった。
初めて所属したUGN支部でも、必要以上の戦闘を行う問題児として槍玉に挙げられた。
以降様々な支部を転々とする日々が続くも、彼女を快く受け入れるような支部は現れなかった。

15歳になったある日、UGNの日本支部から直々に配属を言い渡された。
そこは、UGNの中でも戦闘のエリートが集まる特殊部隊、通称「ストライクハウンド」。
人に仇なす獣を喰らう猟犬。そこにあるのは生と死、生々しいほどの殺し合いの日々だった。

しかし、ギンコにとって、そこの水はあまりにも合った。合ってしまった。
彼女の経歴を知る人は皆一様に「せっかくあの地獄のような日々から抜け出せたのに」と思っただろう。

『ストライクハウンド隊』として参加した初めての任務。そこで追い詰めたジャームにとどめを刺したギンコは、空に浮かぶ真っ赤な月を見上げてこう思った。

“ああ、ようやく、帰ってこれた。”

同情なんていらない。
気味悪がられたって構わない。

『戦場“ここ”が、オレの居場所だ』


ストライクハウンド隊

「よくやった。真桐銀子。初任務にしては上出来だ」

そう声をかけてきたのは、この部隊の隊長、久木静流だ。

「話しかけんな。それに、あんたのためにやったわけじゃねえ。」
「そうか。…資料にもあったが、噂通りのオーヴァードだな。自信過剰で自己中心的。支部をたらい回しにされるのも頷ける」
「あ? バカにしてんのか?」
「そう思うか? なら、少しは考える頭があるのだな。安心した」

とっさに右脚で頭を蹴り飛ばした、はずだった。

「いい蹴りだ。速度、角度、威力、どれも申し分ない。どう身体を使えば最も効率的なのか、完璧に理解している」
「てめぇ…!」

顔の真横で、片手でその脚を受け止める。
脚を引いて距離をとった。初めてこの人間から溢れ出る力を感じ、ギンコは身を震えさせる。

「だが、私なら、お前をもっといい場所まで連れて行ってやる」
「何…?」
「退屈だったんだろう、自分よりも強いやつがいなくて。安心しろ、私ならお前を楽しませてやれる」
「……役不足だって言ったら?」
「それはお前自身で確かめてみるといい。真桐銀子。“演習”だ。私とお前、1対1で。ただし、私が勝ったら、この部隊のルールに従い、私の部下として働いてもらう。お前が勝ったら、その時はお前の好きにするといい」
「おいおい、正気かァ? ぶっ壊れちまっても知らねぇぞ」
「安心しろ、オーヴァードはそう簡単に壊れんさ」
「……癇に障る言い方だぜ。誰かさんに似てなァ!!」

そして、久木とギンコは3日間に渡り、戦い続けた。
互いの力はほぼ互角。しかしUGN特殊部隊長はほんの一瞬、敵に生まれた隙を見逃さなかった。

「…私の…勝ちだ…」
「…うるせぇ」
「契約には従ってもらうぞ、『陽を喰らう狼』」
「……」

目の前に差し出された手。
逡巡した後、ギンコはその手を掴んだ。

「ようこそ、『ストライクハウンド』へ」



それから気が付けば10年の月日が流れていた。
ギンコは今や久木に次ぐ在籍年数となったが、いまだに昇進する話は出てこない。
そんなこんなで、後から入ってきた【PC3】はいつの間にか久木の副官になった。
今度入ってくる新人の【PC1】は久木のやつの愛弟子らしい。どれだけ強いのか、楽しみだ。
【PC2】とは結局一度も拳を交えたことがない。つまらない。

久木とは、その後も幾度となく「演習」を行なった。
結果は五分五分だったが、自分と同等の力を持った人間が近くにいる。たったそれだけのことが、あれだけ不安定だったギンコの衝動をいとも簡単に抑えてくれた。

この部隊に配属されたのは幸運か、あるいは運命か。いつの間にか、ここがギンコにとっての“居場所”になっていた。



セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 GM 参加者
フルスクラッチ作成 0
1 STRIKE DAYS 54 わか
2 自前追加経験点 10 わか

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