名称:緋色の鳥
モンスターレベル:25 分類:幻獣
知能:高い 知覚:五感 反応:敵対的
言語:なし 生息地:夕焼けの続くすべての場所
知名度/弱点値:29/32 弱点:雷属性+2
先制値:29 移動速度:50
生命抵抗力:25(32) 精神抵抗力:25(32)

部位数:3(嘴*1 翼*2) コア部位:嘴

攻撃方法:嘴/命中力:29(36)/打撃点:2d+30/回避力:29(36)/ 防護点:22/HP:230/MP:132
攻撃方法:翼/命中力:27(34)/打撃点:2d+26/回避力:31(38)/ 防護点:18/HP:190/MP:61
攻撃方法:翼/命中力:27(34)/打撃点:2d+26/回避力:31(38)/ 防護点:18/HP:190/MP:61

特殊能力(◯:常動型 〆:主動作型 ☆:補助動作型 □:宣言型 ▽:条件型 ▼:条件選択型)
〇えさをやるな
 真っ赤に燃えるような赤い翼、とてつもなく巨大な体、見るだけで恐ろしさに死んでしまいそうだ。
 この鳥と出会ったときに精神抵抗の比べあいをする、失敗すると生死判定を除くすべての判定に-2、制限移動しかできなくなる。

〇知るな
 この巨大な鳥の正体を知ってしまったあなたは今すぐ逃げたい衝動に駆られるでしょう。私なら無様に空を飛んで逃げるね。
 魔物知識判定に成功した場合、可能ならこの魔物から離れようとする。不可能なら生命抵抗、精神抵抗、生死判定以外の全てに-1

〇閉じ込めろ
 この魔物は四方を壁で囲んだとき、そこから脱出しようと暴れる。
 その時、狙える位置にキャラクターがいたとしても壁を優先して攻撃するでしょう。


〆緋色の鳥よ、未だ発たぬ/23/精神抵抗/消滅
 この能力が使用されたとき、周囲にいるすべてのキャラクターは精神抵抗を行う。
 失敗した場合、そのキャラクターは一時的に行動不能に陥る、この効果は弱ではない精神効果として扱う。
 毎ターン主動作で精神抵抗を行うことで成功すると幻覚から戻って来れる。
 幻覚を見ている間、回避判定は振れるものとする。

 幻覚を見ている間、以下の効果を受ける
 1R目、夕焼けより赤い空が広がる原野に立っているような幻覚を見る。
 2R目、根拠はないが、自分が飛べると思い始める。
 3R目、空を飛びたい!と言う思いが強くなり、ぴょんぴょんする。
 4R目、緋色の鳥へと通常移動で近寄れるだけ近寄る
 5R目、死への多大な恐怖と、苦痛を感じながら緋色の鳥に捕食される幻覚と幻痛を覚える。現実世界の体は暴れ周囲に無差別に攻撃する。 1d6を振り、1,2なら味方を3,4なら自分を5,6なら緋色の鳥を全力で攻撃する。
 6R目、幻覚世界で死亡する、2d6+20の呪い属性魔法ダメージを受け1R目の効果に戻る
 
 一度正気に戻った後に再び幻覚を見る場合、前回の続きから見ることになる。


〆緋色の鳥よ、今こそ発ちぬ
 周囲全てのキャラクターを 〆緋色の鳥よ、今だ発ちぬ の効果に落としたとき、この能力を使用可能になる。
 緋色の鳥は戦場から離脱する。

戦利品
 自動:緋色の骨(1800G/赤S)
 2~6:緋色の羽(1000G/赤S)
 7~10:真紅の翼(3000G/赤金S)
 11~:真紅の翼(3000G/赤金S)*2d

解説
人は常に何かの視線を感じながら生きている。
それは常に「何か」の視線でしか無い。そこには如何なる具体性も像も存在しない。
だが、一体誰が己の背後に何者も存在し得ない事を保証出来るだろうか?
一体誰が人の魂は誰の侵入も許さぬ神聖な不可侵領域であると嘯いた?
一体誰が己が己たる部分には鵬の嘴すらも届かぬであろうと説いたというのか?

偶然などはどこにも存在しない。全ては必然であり、何らかの誘導の結果引き起こされたものである。
だがそれを観測出来ぬ者はそれを偶然と決めつけなければ気が済まなくなる。人は結論の出ない問いにすら答えを押し当て、前に前にと進んで来た。それが故に、盲目であった。
そしてそれは自然の摂理であった。盲目につけ込む捕食者。人が人たるを狩る、人類種の天敵。

それを思い付いた者がいた。数言の簡単な言葉と、その羅列。その者はそれを発見した気になった。事実その者は、それを赤い原野の奥に見出したのだ。
しかしその実、その者は発見したのではなく、発見されていたのだ。
その者は言葉を想い、それを目にし、それを記し、そして死した。
だが死は、余りにも世界にありふれていた。その者の死は、あまりにありふれた死の中に埋もれてしまった。その死が持つ真の意味に何者かが気付いていれば、その何者かはその者を単なる異常者とは見なさなかったであろう。
意味不明な言葉を呟き続ける狂人ではなく、心を何かに貪られた残骸であり、その何かの涎をべっとりと張り付かせた残滓であったと気付いただろう。
しかし、何もかもは遅過ぎた。人々はあまりに盲目であった。何度となく繰り返されて来た狩りに、誰一人として気付く者が無かった。

それは緋色の鳥。祝詞によって封じられ、祝詞を利用し力を得た、意識界を飛ぶ鳥。

やがて、それは力を得た。精神を、魂を喰らったそれはより広く拡大し、より多くの人々を見つけた。
それの言葉も、それを知らぬ者も、一切の無知でしか無かった者すらそれの視線の先にあった。
あらゆる人々が、正常な生活の中にそれの存在を感じ取っていた。あらゆる人々が、それに見つかっていた。
視線を感じる。赤い視線を。
声が聞こえる。赤い言葉が。
風を感じる。あの原野を吹く風だ。奴の翼が起こす風だ!

そして、あらゆる人々は後ろを振り向いた。自身を見つめる者を見つめ返さんとばかりに。
そこにいる何かは蠢き、震え、射抜かんばかりの視線を注ぎ込んだ。
そしてあらゆる人々が、その姿を見た。あらゆる人々がそれを──奴の姿を認識したのだ。
認識は像を結び、観測は形を与える。それはまさに認識界から現界へとまろび出た一羽の鳥。認識の鳥!
あらゆる人々が奴を見つめ、見つめ返された。そして奴を認識し、脳の片隅にのみ存在した奴を己の意識界一杯へと拡大した。あらゆる人々が!
そしてそれは、遂にあらゆる人々の眼前に存在を得た!

おお、今こそ来ませり!
 
其は一人一人の心であり、共有された意識界の王。緋色の鳥は来り!
 
魂の合流点に棲みし精神の支配者。緋色の原野は拡がれり!
 
緋色よ来れ! この世界は汝の鳥籠と同義なれば。
 
全ての人々よ見るべし! 汝の眼に映るは赤き空、赤き草土、赤き廃墟なり! 緋色の鳥が棲みし世界に覆われた汝の世界なり!
 
歌い上げよ。彼の鳥が気まぐれに汝らの魂を貪るためのみに存在する、それが世界なのだ!

そして彼の鳥は最後の一人を嚥下した後に、飛び立つだろう。人を、人外を、神を貪り、長い咆哮の後に飛び発つだろう。赤き星を残して、意識界の更に深層へと飛び断つだろう。深き混沌へと身を投じ、狂乱の儀式に囲まれて眠りに就くだろう。
星が再生し、再び命が地に溢れるその時まで──